すべての脱オタクファッション志望者に贈るメッセージ 2005



 何から書こうか。

 そうだな。俺がオタク趣味に手を染め始めたのは小学校の頃。当時好きだったクラス1の美少女 (と言われていた子) がイラストを描いていた影響で、俺もそれを真似した事が全ての始まりだったと思う。

 中学生になり、ひょんな事から地元のコミケ (同人誌即売会) の存在を知り、即ハマる。めくるめくコミケの洗礼を受け、オタクの象徴 「バンダナ」 を頭に巻いた。なぜ巻いちまったのかは分からねえ。しかし当時の俺にとってバンダナはロマンだったんだ。

「バンダナ巻いた俺カコイイ…。」

 バンダナには、無条件にそう思わせるパワーがあった。

 バンダナに魅せられちまう位だから、当時の俺のファッションは最悪だった。一応自分で選んで買ってはいたが、どうしても最終的には 「オタク定番NGリスト」 通りの服装になっちまう。ケミカルウォッシュ なんざ当たり前、オタク眼鏡 にadidasカバンに白ソックスのイケてる最強コーディネートでブイブイ言わしてたぜ。そう、あのリストは俺の歴史そのものなんだ。

 そんな中、林原めぐみ、椎名へきる、國府田マリ子、三石琴乃等の声優にハマり、深夜の声優ラジオを聴きまくるようになった。同時に 「爆れつハンター」 「NG騎士ラムネ&40」 「アイドル防衛隊ハミングバード」 「天地無用!」 「幽々白書」 「覇王大系リューナイト」 等のアニメに没頭した。正に青春だった。

 この頃、俺は学校にアニメグッズを持っていったり、周りに声優の魅力を語りまくったり、校内放送でアニメソング (カラオケバージョンだけど) を流したりしていた。熱かった。ある意味、真のオタクの姿だったかもしれない。不良グループに 「アニメグッズなんか持ってくるな」 と迫害されたが、俺はアニメグッズを批判するような奴らの言う事など気にしなかった。アニメに興味を示さずに流行を追いかける奴らはみんなアホだと思ってたし、天然パーマの俺をからかうような女どもはBITCHにしか見えなかった。清純系以外の女は、女じゃなかったんだ。 「俺は何にも悪くない。悪いのは、俺を理解しないあいつらだ。」 これが、俺の合言葉だった。

 中3の時、好きだった後輩の女の子 (清純系) を人生初めてのデートに誘う事に成功し、告白するも、あえなく玉砕。オタク少年の恋は花と散った。ちなみにその時のデートに着ていった勝負服はadidasボーダーTシャツ + 変なベスト + 白Gパンだ。まあ中学生のオシャレなんてこんなもんだから仕方無い。許してくれ清純系。

 そんな公害の如きオタクぶりにピリオドを打ったのは高校の時だ。クラスメートのオシャレなバンド野郎の影響で、俺もだんだんとオシャレに目覚め始めたんだ。そして今まで自分のしてきたオタク的行動が全て間違いだったと気付き、深く反省した。オタク趣味そのものは捨てなかったが、俺はわずかな小遣いの中でファッション雑誌を買い、怖い店員に食い下がるように教えを請うた。とにかく頑張った。そんな中、運良く高2で初めて彼女が出来たよ。嬉しかった。

 その後、オシャレに対する情熱は怒涛の如く加速していった。今まで陽の目を見なかったコンプレックスの裏返しで、とにかく目立ちたかった。俺は、まずヴィジュアル系モードファッションに手をつけた。痛ぇ。しかし、黒系ばっかですぐ飽きた。次に、奇抜なパンク系に魅せられた。「俺の求めていたモノはこれだ!」 と思った。着れば速攻で目立てるからな。痛ぇよ父ちゃん。だが、その内ガキっぽい事に気付いて冷めた。最終的には、「お洒落気取り」 のいわゆる丸井系ファッションに落ち着いた。まあ、それまでに比べたら割と無難な方だろう。

 そうやってガンガン服を買い漁って服オタク化していた俺にとっての転機が訪れたのは、ごく最近大学に入ってからだ。自分と同じ丸井系の服装をした奴を身近に発見したのがキッカケだ。もちろん、丸井系の大学生なんて腐る程いる。そいつが他の奴と違ったのは、「顔」だ。そいつの顔には、

「ボクってオシャレでしょ?」

 と書いてあったんだ。

 俺は愕然とした。 「もしかして、俺自身もずっと 『ボクってオシャレでしょ?』 オーラを発し続けていたんじゃねーか!?」 と。

 こうして、オシャレを追求し続けてきた俺の5年間の旅は終焉を迎えた。この頃には既にどんな人とも対等に話せるだけの自信が付いていた事も相まって、「これからは目立つ事は考えず、人に話しかけられ易いカジュアルな服装でいこう。」 と思うようになったんだ。いわゆる、「悟り」 ってやつだ。今はフリマとか古着屋で適当に1,000円位で仕入れた服を着てるよ。

 これが、俺の歩いてきた道だ。おかげで今じゃ毎日楽しい生活送ってるし、オシャレを頑張ってきた事に悔いは無い。ただ、これから脱オタクファッションしようとしている人達には、俺のような遠回りはしてもらいたくない。このサイトを見ながら、友人に聞きながら、店員に罵倒されながら、頑張って欲しい。間違っても服オタクになんかなるんじゃないぞ。辛くなった時は、振り返れば仲間がいる。

2005年 『脱オタクファッションガイド』 運営者 久世